公立進学校への呟き 〜Twitterより〜

 朝からツイッターで呟いたものだが、今の公立進学校への私の思いや考えが素直に表せたので転載したい。実はブログで何度か書こうとしたのだけれど、うまく書けなかったのだ。勢いで書いていて、日本語がおかしいところもあるがご容赦いただきたい。
このツイートに対してFacebook経由で教え子のT君がコメントをくれた。「僕は空気が読めないのでよかったのかもしれません(笑)公立高校にいって一番困ったのは世の中の一番上がどんな風に生活しているか見えなかったことです。」たしかに彼は空気を読むような子ではない。彼は畝傍高校から現役で京大医学部に進学した子である。畝傍高校から京大医学部へ現役で合格したのは20年ぶりとか何とかいう話を伝え聞いた。(正確には知らないがたしかにめったに合格する子はいない。)
上のツイートを書き込んだら、これもまたFacebook経由で、りさこ先生が「いいね!」を押してくれた。私が書き込んで5分以内だった。りさこ先生はそういつもいつも私が何を書いても「いいね!」を押すような人ではない。彼女が押すにはそれだけの意味がある。りさこ先生は畝傍出身で、現役で阪大に合格できず、一年後京大に合格した女性である。京大では東大寺や西大和の学生と多数知り合いにちがいないし、またふりかえって畝傍高校がどんな学校かも分かっているにちがいない。
昨日、SORAのスタッフとDaichiのスタッフでお好み焼きを食いながら呑んだ。ウチのスタッフに畝傍出身のS君というのがいて、彼は同志社の学生なのだが、彼もその場にいて、私は、彼の高3のときの受験勉強のことを話題に挙げた。
 
「先生、ボク同志社に行きたいんですけれど、どんな勉強したらいいですか?」
 
S君は同志社に行きたいというのだが、いくつか彼の英語の質問を受けた私は愕然とした。とてもではないが、同志社に合格できるような学力ではなかったからだ。畝傍の中でも練習が厳しい部活をやっていて、勉強には全然手が回っていなかったのだ。

彼の話をふんふんと聞いていると、センター試験受験の話が出てきた。「え、え、ちょっと待って、君は同志社に行きたくて、私立しか受けないんだろう?なんでセンター受けるの?」と訊いたら、「いや、センターでも同志社は行けますよ」なんて言うのである。いや、お前それは京大とか阪大を受験するような子の話だろう。お前が(センター利用で)受かるわけないじゃんと返した。聞けば畝傍には何だかセンターを受けなければならないような不文律があるという。
 
私はS君に言った。「あ〜、先生のところに行ってさ、センター受けませんって言ってきな。先生と喧嘩してもいいからさ。同志社行きたいんならセンターの勉強なんてしてたら無理だから。最悪、勉強をまったくせず、当日欠席でもいいけど。私立行くって決めてんのにセンター受験はおかしい。」
 
S君は意を決したように「先生と喧嘩してきます!」と言った。曖昧に誤魔化したくないということだったのだろう。S君らしいと思ったが、彼は担任と本当に喧嘩してきた(笑)ともかく彼は畝傍に流れる「同調圧力」と戦い、人とは違う戦いに向かう決心をしたのである。
 
そこからは、先ほど出た、りさこ先生や、たかちゃん先生(今は医大でインターン)をフル動員してS君に勉強させた。貴ちゃん先生などは自分が勉強していたガストで、同じく勉強に来たS君と会い、そこでも質問を訊いていたのだという。で、彼は見事同志社大学に合格した(私が一番信じられなかったかもしれない)。
 
後で聞いたところによると、センター試験を受けないことで色々大変だったらしい。一番悔しかったのは、一緒に部活を頑張ってきた仲間が、S君に「お前、何でセンター受けないんだよ。(成績が悪いSのくせに)」と結構、嫌味を言ってきたことだったという。
 
「皆仲良く」というのは、裏を返せば人と違う道を行けば、足を引っ張られる可能性だってあるということだなと思った。S君はその悔しさもあって猛勉強をした。合格したときは「俺はやってやったぜー!!!」と拳を突き上げ喜んだらしい。彼に色々言ってきた子達がどういう結果だったかは、S君から聞いたが、ここには書かない。

たしかに、センター試験を切り捨てなければいけない状況にまでしたのは、S君自身の責任であるが、人は気づいたところからベストを尽くせばいい。彼のベストとは「センター試験を受けずに第一志望に全力を注ぎこむこと」だった。それが人とは違う道であっても、彼は一直線に走りぬいた。だから勝てた。
 
私は生徒達に奈良や畝傍や郡山のような進学校に通ってもらいたいと思っているが、そこで、仲良しこよし「だけ」をしてもらいたいとは思っていない。広い世界を見ようとする「高い意識」と、孤独に歩む「強さ」を持ってもらいたいと思っている。この文章を書いている間にも、一連のツイートがどんどんリツイートされて広がっている。それは共感してくださる方が多いということであろうし、畝傍出身のスタッフや教え子が反応してくれていることも併せ、私が主観だけで物を言っているのではないということを証明してくれていると思う。

実は、一番これを読ませたいSORAの高2生なのだが、彼らの中で、私のブログやツイッターを読んでいる子は正直少ない。私や猫ギター先生やロカビリー先生、赤虎先生、細川先生を始め、私がフォローしている方のツイッターやブログを読めば、世界が広がり、モチベーションも上がろうというものだが、彼らの世界は物凄く狭いのである。そんなものなのだ。(世の中には自分の受験勉強の進み具合を書くだけの別アカウントを作って、塾の先生や予備校の先生をフォローしてモチベーションを上げようとしている連中もいるのに!)

そんな彼らに広い世界を理解させ、自分達が過ごしている「空気」の温度というものがどんなものであるかを気づかせるのは本当に大変なのだ。







 
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