よい発音を身につけさせたい

中3は天王山の夏を迎えている。「受験の夏!」という感じでついつい指導する側も受験生へ目が行きがちになるが、もちろん夏期特訓は中3のためだけに存在するのではない。各学年ともじっくりと鍛え、学力を伸ばしたい。

我が塾では、中学受験を目指す生徒を受け入れていないため、小5の生徒なんて高校受験まではまだまだ4年半ほどもあるので、「受験」なんてものはモチベーションにはなりにくい。その代わり時間がたっぷりある分、じっくりと鍛えることができる。「受験」にはそう必要はないが磨いておきたいものというのは少なくない。英語の発音なんていうのもそのひとつだ。

小5の英語は「発音磨き」をこの夏の指導の柱の一つにしたいと考えている。英語の発音は良いに越したことがない。発音がよいと英語コンプレックスになりにくいし、英語好きになりやすい。発音の良い子は、指導する側が放っておいても、勝手に英語の勉強を進めてくれることも少なくない。

また、センター試験にも「リスニング」が導入され、なおかつ中学校の定期試験でも「リスニング」の量が何だか増えてきた昨今である。リスニングを磨くにも発音を磨いておくのがいい。

リスニングを鍛えるには、テープ学習などリスニングの訓練をする以前に「発音」を鍛えておくのが王道だというのが私の考えである。「 a lot of 」を「ア ロット オブ」と読んでいては、ネイティブの「 a lot of 」は聞き取れない。(カタカナで表記すると何だか変だが)「ァラル()」くらいに自分でも言えてないと、聞き取るのは難しい。もう別の語に変化するくらい省略や音便化がなされているので「知識」がないと分からないのである。

もちろん英語が聞き取れないのはそのことだけが原因ではないが、単純に格好よい発音をしっかりできれば、身に着けた本人はハッピーであることは間違いない。とにかくそこらの子の発音を数段レベルの高い発音を身につけさせたい、これがさしあたっての目標だ。

目標を突破するにはいくつかのハードルがある。けっこうそのハードルが高いので、中学生はそれを越えさせるには時間が足りない。よって少し(かなりか?)妥協をしなければならない。小学生だと時間があるし、耳がいいので何とかやれるのである。

「ハードル」のひとつは「発声の違い」である。イギリス人やアメリカ人が話す英語と日本人の発声の一番の違いは「鼻から抜く音の量の違い」だ。よく欧米人は複式呼吸で日本人は胸式呼吸を云々を言う人がいるが、私はこのことよりも「鼻から抜く音」の違いの方が大きいと思う。雑踏の中で外国語を話す声が耳に入って来やすいのは、それが外国語だからというよりも音の質が違うからだと私は思う。

Rの音を「舌を巻く」ポイントだけで教えるのではなく、Rは鼻から抜く子音だということを教えなければならない。そこは重要だ。「子音のアタックの強さ」は一般に英語と日本語の音の違いで語られることは多いが「鼻に抜く音」の違いはそれに比べると語られることは少ないように思う。しかしそこができると発音はべらぼうに違ってくるのでしっかり指導したい。

面白いのは、小学生にはこういう理屈をいうより、「先生の出す音を思いっきりよく聞いてよく真似して」と言い、「耳をこらして」聞かせ、自分の出している音もしっかり聞かせて練習させる方が上手にできてしまうことが多い。

educationの基の意味は「引き出す」ことだというが、教えてしまうとよけいできないことがあって、持っている力を引き出すようにするのが小学生によい発音を身につけさせる最大のコツであるように思う。



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