一つだけ惜しいと思っていることがある

SORAの職員室にすぎやま先生がいなくなって2ヶ月が経つ。

私も森川先生もすぎやま先生がいないことの喪失感がとても大きくて4月は本当に何かしっくりこなかった。

今、すぎやま先生は宮崎でたった一人で九州みかみ塾を切り盛りしている。

彼は京都大学法学部という学歴信奉者からすると垂涎の肩書きを持ちながら、某超有名商社の内定をあっさり蹴って、知らない土地でたった一人で塾を始めている。

こんなことは並の22歳に出来ることではないし、普通はそんなことはしない。

彼は並外れた凄いヤツなのである。

学歴などは彼の「凄いところ」の10番目くらいのものだ。

性格、行動力、頭の良さ、情熱、どれも飛び抜けている。

例えば行動力。

彼は自分の塾の区域にある中学校がどんな学校か、そしてどんな生徒が通っているのかを知りたくて、朝一番で立ってみたという。

一見ささやかなことのようだが、全国津々浦々の大手塾の新卒専任講師でそんなことをした人物がどれだけいるだろうか。

あるいは新たに塾を立ち上げようとした塾講師でそんなことをした人間がどれだけいるのか。

このことだけでもすぎやま先生の凄さの一旦が伺えると思う。

しかもすぎやま先生はこのとき朝から校門のところに立っておられた学校の先生に屈託なく声をかけ、この地で塾を開くのだと説明し、挨拶までしたという。

そしたら、話が盛り上がって、その先生は色々教えてくれたのだそうだ。

しかも、先生と話をしているうちに、中学生達も集まり、あ、その塾なら知っている、チラシを見たと、話が盛り上がったという。

こんなところがすぎやま先生の一番凄いところだ。

彼は頭がよくて優秀で、行動力がある上に、「人に愛される」天性の何かを持っているのである。


どうだろう。


もしこれを大手塾の幹部の先生あたりが、あるいは優秀な人材が欲しいと思っておられる塾長先生がご覧になっていたなら、絶対に欲しい人材だと思うのではないだろうか。


もしすぎやま先生をSORAに置いておいて、SORAで働いてもらっていたら、私はきっと数年後には大層お金持ちになっていたと思う。

それくらいの人材だ。

そのすぎやま先生に大きく大きく羽ばたいてほしいので、みかみ先生の下で頑張ってもらうことにした。

お金持ちにはなれないが、友人が大きく成長してくれる方が私は嬉しい。








しかし、私はみかみ先生にすぎやま先生をお預けして、実は一つだけ惜しいと思っていることがある。

このことだけはずっとずっと残念だった。






私は自分の息子を彼に教えてもらいたかった。

それがおそらくは叶わないだろうことだけが残念でしょうがない。





この春、卒業した子で一人、11月の終わりに突然東大寺学園を受けたいと言い出した子がいた。

何せ東大寺学園である。

びっくりしたが、本人が受けたいというので、こちらも随分頑張った。

本人も頑張り、先生達も頑張ったが、残念ながら合格は叶わなかった。

後3ヶ月早く言い出してくれていれば何とかなった、私達はそう思った。

それくらい彼は頑張ったし、優秀な子だった。

それにしても何故急に東大寺学園を受けたいと言ったのか不思議に思っていたらあるとき、お母さんと話をする機会があって、真相をお母さんが教えてくださった。




「あの子が東大寺を受けたいと言ったのはすぎやま先生みたいになりたいからなんですよ。大学は京大に行きたいって言うんです。」






人と人との縁が人の人生を作っていく。

この子がすぎやま先生に教わることができたのはとても幸せなことだったのだと思う。






まだきっと宮崎のみかみ塾は生徒がそんなに多いことはないだろう。

ならば、今ならすぎやま先生が独占できるのだ。

しかも夢を追い、単身宮崎に乗り込んだ、ピチピチのすぎやま先生に教わることができるのだ。

彼の近くにいる中学生が羨ましい。

数年もすれば塾はきっと大盛況になるだろう。

今なら10倍お得という感じだ(笑)




そうだ、いつか突然宮崎に行って「おすぎ」を驚かせてやろう(笑)

驚いた後きっと彼は泣くにちがいない。

あの日の伊丹空港でもそうだったのだから。







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