ヒーローに会えた日(4)

バキチはどんどん超VIPエリアの方へ歩いて行く。彼が超ポジティブで人がいいのは短い時間の大阪城観光でも分かってはいた。たぶん勝算があって動いてくれているのではなく、頭にあるのは「何とかしてやりたい」という思いだけなのだ。頭より体が先に動くタイプだと思う。

『Graceland』をポールと一緒に作った偉大なベースプレーヤーが、私のために行動してくれている。こんな光栄かつ嬉しいことはない。私は胸がいっぱいで、「それだけでもう十分です」という気持ちだった。

それでも彼はあきらめない。彼は誰かを探している様子だった。つまり許可をとれる人物を探していたのだろう。元々が無茶な話だったのだが、この日の私は何かに祝福されていた。なんとそこへアートガーファンクルの息子のジェームズ・ガーファンクルが通りかかった!どうやらこのツアーではスタッフとして動いているようだった。

バキチはチャンスを見逃さない(笑)いきなりとっつかまえて私を紹介してくれた。ジェームズはびっくりするくらいお父さんの若い頃に似ていた。



(ネットから拾いました。お父さんの若い頃にもうそっくり!!)

ジェームズはバキチから事情を話されると、私を真剣な顔で見つめ、「分かった。ちょっと待ってて」
と言って、急いでどこかへ行こうとし、そしてくるっと振り返って「やっぱり一緒に来て」と言った。「Stay here.」と言ったときの声がもうお父さんの若い頃の声にそっくりなのに驚きながらついていく。

そして再び、ここで待っててと言われ、待っていると、ジェームズはお父さんを連れてきた。アートガーファンクルが私の方に歩いてくる。キャップをかぶり、眼鏡をかけ、ラフないでたちで、そしてとても優しい顔で微笑みながらゆっくりと歩いてきた。

高校生のときから憧れていた人が目の前にいる。目に薄く涙が滲む。アートはにっこり笑って、握手の手を差し出してくれた。握手をしながら、私は「30年近くあなたの大ファンでした。(I've been a great fan of you for almost thirty years, since I was fifteen.)」と言った。言いながら、生徒達の教科書に似たような文章があったなとちらりと思った。

(つづく)








コメント

kamiesuさん、こんばんは。

kamiesuさんのコメントを読んで、サイモン&ガーファンクルの本物のファンだな・・、凄いな・・と感じました。
私も、サイモン&ガーファンクルとバックのアーティストの方々との一体感や、曲順、最高だったと感じました。又、来日公演してほしいです・・。サイモン&ガーファンクルの歌は心の琴線に触れる曲が多いですね・・。

ヒーローに会えた日No.4を読みました。
アーティが現れるまでの情景が浮かんできて、読んでいる私ですら、緊張と興奮してしまったので、現場にいた当事者のkamiesuさんは、どれだけ心臓が飛び出しそうだったことでしょう(笑)
アーティに会えたのは、30年間、ずっと思い続けてきたkamiesuさんへの贈り物ですね。
アーティが、自分の目の前に、優しい笑顔で現れたら、涙が滲んでしまいますよね・・。アーティを目の前に、英語で話ができるkamiesuさんは凄いです・・。私だったら、パニックで硬直して「a a a・・・」しか言葉がでないと思います。

それにしても、ジェームズ君、アーティに似ているなんてものじゃないですね!!アーティと同じ顔と表情です(笑)遺伝子はすごいですね(笑)お忙しい中、更新とコメント、ありがとうございました。No.5、楽しみにしています!!

  • チェムチェム
  • 2009/07/31 21:38