花は必ず咲く

もう20年ほどこの仕事をしているが、今年の入試ほど神経を使った入試はなかった。

この不景気で公立志向が高まることは明らか。

実際、私立の募集状況を見たときはぞっとした。

今までの進路指導のデータやノウハウだけでは正確なボーダーを読み切ることはできない。

塾の先生の仕事は生徒達の学力を伸ばすことであるが、受験校を決定するための情報やデータも提供できなければならない。

学校の先生が懇談で呟いたこと、私立高校からの情報、そしてそこから私自身の経験則による推測も含めて、ボーダーラインを算出した。

特に、今年は奈良高校と畝傍高校のボーダーがほぼ変わらない、私はそう読んだ。

奈良高校が若干易化して、畝傍高校が難化する。

それを基に進路指導を行った。

しかしながら、そう簡単に物事は決まるものではない。

確実に合格できる学校を受験させれば、生徒全員を合格させることもできなくはないが、多くは高い目標を持って頑張ってきた子達である。

ボーダーぎりぎりで受験をする子も当然出てくる。

話し合いを重ね、それでもどうしても受験したいという子はいるものだ。

その子が受験することが決まったならば、合格させてあげることが私達に課された使命である。

今年は私立が易化することは明白だったので、いつもの年よりも公立受験にシフトした指導を早くから行った。

結果、最後の最後の彼らの伸びは素晴らしいものがあった。

私達はこの一年で、さらに指導を進化させることができたと思っている。

それくらい彼らの点数は上がっていった。

メンタルな部分にも気を配った。

「緊張」を乗り越えるには「緊張しないこと」を目指してはいけない。

「緊張」の中でもベストが尽くせるよう、場数を踏ませるのが一番だ。

受験前のラスト二日に連続して、本番と時間を合わせてテスト会を行った。

今、私達にやれることを考え、彼らが全力を尽くしているように私達も全力を尽くした。

結果、それでも、残念ながら、今日合格させてあげることが出来なかった子を出してしまった。

最後にぐんぐん点数を伸ばし、合格する可能性は高まっていった。

教えている私達もかなりの手ごたえを感じていた。

しかし、合格させてあげることができなかった。









合格できなかった子は能力が足りなかったのではない。

ほんの少し間に合わなかっただけだ。


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同じ木に生まれた桜の花も、同時に花を咲かせるわけじゃない。

花は、同じ場所で同じく育っていても、それぞれに咲く時期がある。

咲かないのではない。

花は必ず咲く。

辛い思いの後には、きっと大きな花を咲かせることができる。

それを信じて頑張ってほしい。


私達は君を今日合格させてあげることはできなかったけれど、辛い思いの後に大きな花を咲かせた人はいっぱいいるよと言ってあげることはできる。

なぜならそういう生徒達をたくさん見てきたからだ。

だから、涙を拭いた後には、「いま・ここ」を大切にして、花を咲かせる努力をまた続けてほしいと心から願っている。




コメント

高校受験で終わりではありません。
大学受験で終わりではありません。
就職試験で終わりではありません。

その時・その時の自分にとって、最大で最難関の試練は、
死を迎えるまで(もしかしたら死を迎えてもなお先に?)
幾度となく訪れるのだと思います。

だから一つ一つ懸命に、真っ向から立ち向かっていかなければならないんだ。
・・・と、あらためて身の引き締まる気持ちを、思い出させてくれたその人に、ありがとうございますと言いたいです。

  • tomoko nakayama
  • 2010/03/18 19:22

仕事帰りの電車のなかで読み、涙がでそうになりました。

私なんぞが先生の言葉をお借りするのはおこがましいのですが、不合格の生徒にこの『桜の木』の話をしてあげたいと思います。ありがとうございました。

  • 新米室長
  • 2010/03/18 23:50

昨日は名前を入れ忘れたのかな。

子どもにも妻にもブログへのコメントは一切話していませんでしたが、合格発表会場で先生から聞かれたと息子が言っていました。すっかり先生は分かっておられたみたいですね(笑)。

ご心配おかけしましたが、何とか内申点で逃げ切れたようですね。息子の満面の笑みを久しぶりに見たような気がします。まだ合格が信じられないような感じでした。

残念ながら全員合格とはいかなかったようですが、塾生の頑張りは凄かったと聞いています。

41人中特色と併せて12名が畝傍高校合格とか。29%の塾生が県内のトップ校に進学するなんて驚きです。

大手塾の中三生がどの位いるのかよく分かりませんが、各塾1000人としても、折り込み広告から推測しても15%未満でしょうね。SORAは大手塾の2倍以上の成績を上げているのではないでしょうか。

これで息子の高校受験は終わりましたが、今度は自分の力で前進していかなければなりません。これができない高校生が大変多いのです。SORAで鍛えられたのできっとそうしてくれると思っています。

息子なりに将来の希望があるようです。今度はそれに向けて頑張って欲しいと思っています。高校受験と同様に、親としてバックアップしてあげたいと思います。

本当に3年間ありがとうございました。

  • orochi
  • 2010/03/19 01:12

ともつん

>だから一つ一つ懸命に、真っ向から立ち向かっていかなければならないんだ。

人が試されるのは「試験」だけではないよね。人生のあらゆる場面で人は「試されている」。
「正解」をいつも必ず見つけて行動することはとても難しいことだけれど、一所懸命に、そして智恵を駆使して、「いま・ここ」で諦めず頑張り抜くことが、目指すところへ最後にはたどり着ける一番確実な方法じゃないかと思っている。

人はそれを忘れては学びのくりかえしだね。





  • kamiesu
  • 2010/03/19 09:11

新米室長さん

どうぞしてあげてください。悔しい思いをした子がまた頑張れる気持ちになれるような言葉を懸命に探してあげてください。

  • kamiesu
  • 2010/03/19 09:13

orochiさん

息子さんは内申点で逃げ切ったということはないでしょう。しっかり実力で合格されていると思います。1、2教科失敗しても過去問その他での得点力にはかなりアドバンテージがありましたから。

合格発表の場でおめでとうと言って握手をしたとき、彼は「いやもう精神力の戦いでしたね」と言っていました。真面目に勉強している子ほど、完璧にベストの点数を狙いにいきますから、点数を少しでも取り損ねるとショックを受けるものです。

今年はそういう真面目な子が多かったですから、そのあたりのメンタルケアには細心の注意を払いました。私からしてみると「お前が落ちたら誰が通るんだよ」くらいの感じなのですが(笑)

とにかく息子さんは合格されました。本当におめでとうございます。よく頑張っておられました。お父様が書いてくださってるように、この学年は本当に頑張っていました。合格出来なかった子も「僅差」だったと思います。当日の合格最低点はもしかしたら310点を超えているかもしれません。厳しい戦いでした。いつもの年なら絶対に合格だったでしょう。

畝傍高校の合格12名ではなく、奈良・畝傍・郡山を合わせて13名の合格でした。今朝HPに「受験結果」を掲載しておきました。ちなみにSORAでは難関校だけの結果ではなく、生徒が合格したすべての学校を掲載しています。

ちなみにSORAでは「合格実績」という言葉を使っていません。「受験結果」と言っています。「合格実績」では何といいますか、「合格」が塾の実績みたいに聞こえなくもありません。まあもう一般的な言葉になってしまっているので、つまらないコダワリでしかないのですが、そうしています。


本当に3年間ありがとうございました。

息子さんが将来の目標に向かって努力されることを心から願っております。

  • kamiesu
  • 2010/03/19 09:45

娘の電話を聞くまで本当に心配でした。


年末からの彼女の真剣さは、本物だったと、思います。
彼女にすれば、たぶんなりふりかまわず、自分の目標に突き進んでいたんだと思うし、精一杯の力を出そうと自分との戦いに挑んでいたんですね。

SORAで、学べたことが、彼女にとって、とてもラッキーだったと思っています。


彼女の兄は、自分の希望の高校には行けませんでしたが、その経験は彼をさらに成長させるための試練だったのかもしれないと思っています。

高校受験で、希望が叶った子も、そうでなかった子も、みんな本当に頑張ったと思います。

ここから、また新しい目標に向かって、しっかり歩きだしてほしいと心から思います。


どんなに、辛い時でも

「明けない夜はない。朝は必ずくる」

そんな言葉をいつも、繰り返しここまできました。

まさに、先生の「花は必ず咲く」ですね。


3年間本当にお世話になりました。
親子共に支えて頂いたと、感謝しております。

ありがとうございました。




  • ねこまま
  • 2010/03/21 03:57

ねこままさん

合格おめでとうございます。

本当によく頑張っておられました。彼女もそしてクラスの皆も。お互いがお互いを高め合う、そんなクラスでした。

各種試験のデータと、これまでの経験から「合格できる」と思い、彼女の希望を支持しました。もちろん安心していたわけではありませんでしたが、受験校を下げるにはあまりに勿体無いスコアを彼女は出していました。

仰るとおり、希望が叶った子も、そうでなかった子も本当に頑張っていました。残念ながら希望が叶わなかった子も、お兄様のように、この大きな「試練」から何かを学んでほしいと心から願っています。

私は生徒達に「人は苦しみの中からしか学べない」とずっと言ってきました。合格した子も、この喜びに驕ることなく、謙虚にこれからも学ぼうとしてほしいと思っています。

3年間こちらこそ本当にお世話になりました。遠いところから娘さんを通わせていただきありがとうございました。

  • kamiesu
  • 2010/03/21 22:20