国語の授業

小4と小6の講習生の国語の授業を2日ほど私が行なった。

私は普段英語を教えているが、国語の授業をするのは大好きだ。

小4は物語文の読解問題。



『青銅のライオン』というお話。

青銅のライオンの像には願いごとをかなえてくれる不思議な力があったので、誰も願いごとを叶えて欲しくてその背中に乗りたがる。

毎日やってくる人間の自分よがりな願いごとに辟易し、ライオンは、心が冷たく沈んでいた。



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ある日、一人の少年が、やってきてライオンの背に乗る。

ライオンはまた欲深い人間が来たと思うのだが、実は少年はライオンが冷たいだろうからと毛布をかけに来たのだ。

自分を温めるために来てくれた少年の優しさにライオンは心を動かされる。

少年に心を許し、優しくなれたライオンは少年をその背に乗せ、家まで送ってやると言う。

ライオンの背に乗った少年はライオンに語りかける。

「あったかくなったね、ライオン」

ライオンは答える。

「おまえが、あたためてくれたのだよ」



設問にはなかったが、どうしても問いたくなり、小4の子らに問うた。



私:「おまえがあたためてくれたのだよ、とありますが、何があたたまったのですか。」

生徒達:「からだー!」(小4だからこの答えは当たり前だ)

私:「はい、今「体」とみんなが答えてくれました。でもそれだけですか。体のことだけをここでは言っているのですか。」

生徒達:「・・・」



私がこの発問をしたのは言うまでもなく、「おまえが、あたためてくれたのだよ」の台詞が「体をあたためてくれた」と「心をあたためてくれた」の二重の意味を含ませていることを教えたかったからである。

ちなみにこういう問題はテストに出題されることはほとんどない。

しかしだからといって、テストに出る問題ばかりの解説をしているだけでは、大きく力を伸ばすことはできない。

「国語」を教えるのに、「国語」のテスト問題だけにフォーカスし、その解法を細分化しメソッドにして、生徒に教えて仕込んでも、そんなに点数は変わらないのである。

「必要なものだけ」しか教えられていない子は「土台」が脆弱になるのだ。

このストーリーを読んで、「ああ、この「おまえがあたためてくれたのだよ」は体だけでなく、心のことを言っているのだ(あるいは作者は含ませているのだ)」と読めない子が本当に力があると言えるだろうか。

テストの点云々ではなく、私達はそれができる子を育てたい。

SORAでは小学生から文章読解をどんどんやらせている。

受験をしない小学生には力量の低い先生を充てがっている塾も少なくない。

そういう塾では先生の力量が足りず、なかなか文章読解の授業はできないから、漢字や四字熟語やことわざなどの暗記に時間を費やすことが多い。(それだと誰でも授業ができるし、勉強させやすい。)

そういう塾がそうしているうちにSORAは文章読解を鍛え抜く。

いろんな文章を読ませ、書かせ、要約させ、解説し、先生のお話を聞かせ、考えさせ、答えさせ、テスト問題の解き方を教える。(もちろん漢字もことわざも覚えさせる)

力量のある先生がたっぷりとした授業時間の中でそれをやる。



一人の子がしばらくの沈黙の後、「あっ『気持ち』?」と少しすっとんきょうな声で言った。

「それだけですか?」、発問手前の、軽いジャブのような問いかけだけでそう言える子もいる。

この子らは普段から塾へ通っている子ではなく、冬休みに通ってくれている講習生だ。

その子達だって(色々教わっていなくても)それくらいのセンスを持っている。

秘めた力はできるだけ引き出してあげたほうがいいに決まっているのである。






冬期講習会開始

 今日から冬期講習会開始。

朝から小6生の講習生達にアルファベットから教える。

生徒達とのファーストコンタクト、「人間関係ができていないからソフトに接する」という先生が多いが、私はまったく逆だ。

最初だからこそ、彼らに媚びたり、甘やかしたりせず、教室で大切にしたいことをきっぱりと伝え、厳格に接することが大切だと思っている。

だから今日もしっかりと厳しく接した。(怖く接したわけではない)

優しくするなんていうのは後からいくらでもできることなのだ。

最初生徒に甘く接してしまって、生徒達が乱れ始めると血相を変えて厳しくするというような先生がとても多い。

それでは生徒達は戸惑う。

それは生徒達が悪いのではなく先生が悪い。

新しい場でどう振る舞えばいいのかをファーストコンタクトの日に生徒達は感じ取ろうとする。

そんな大切な日を普段とは違う自分で迎えてはならないと思う。

今日の小6生達は「指示を正確に受け取ること」には少し課題があったが、とてもしっかりしていて、睨みをきかさないということを聞かないなんていうことはなかった。

とても頼もしかった。

あの子らの中には、講習が終わった後、入塾し、共に高校受験を迎えることになる子がきっといる。

今日の授業はきっと三年後のあの日につながる。

彼らと私達は確かに今日出会った。




私は三者懇談、生徒はひたすら赤本を解く

 三者懇談の日が続く。

三者懇談期間は休講になるが、中3生は毎日塾へ来て赤本を解いている。

今年の中3生は集中力が高い。

皆黙々と取り組んでいる。

三者懇談の合間に様子を見に行くが、いつ行っても張りつめた空気があり、心地よい。

問題を解き、採点をし、その後、ちょっとまとめたり、調べたりと色々考えながらやっているのがいい。

自分の弱点は自分で見つけ、自分で補強するのが一番効率がいい。

一番それが伸びる。

与えられたものをこなす勉強では、やらなくてもいいことまでやらなければならなくなる。

誰も「あなただけの弱点をまとめたオートクチュールの課題」なんて用意してくれない。

考え、工夫し、自分でやれるようになっていれば、最後の最後まで自分の大きく伸ばすことができるのである。



最後の写真は私の今日のランチ。

仕事が忙しく、疲れるときほど、いいものを食べるのがいい。

ずいぶんと心が軽くなる。

しかもこれだけ大きいエビフライのランチで850円。

お値打ちだ。(もうほんの少しだけエビフライの火加減に気を配っていればなお良しだった)


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ギャグ、および語彙の習得レベルのことについて

 「彼は親切にも自分の座席を譲ってくれた。」という日本語が与えられた整序(並べかえ)問題。

だいたいこういうのは一語不足で enough を補い、enough to 〜の構文で仕上げることになっているが、中にはなかなか気づけない子もいる。



「はい、この問題間違えた人?

はい、この問題ね、『親切にも』とあるでしょう。

この『にも』にね、赤ペンで丸く囲みを入れなさい。

この『にも』、この『にも』が入っていたら、要注意!

これはほとんどが enough to 〜の構文ね。

『とても親切だったので、自分の座席を譲ってくれた』と和文和訳できるでしょ。

だからねえ、この『にも』を見つけたら、おお!enough to 〜の構文じゃないか?と狙いをつけなさい。

『にも』を見つけたら、とは、まさに『ファインディング・にも』!(どやっ)」




今年一番のギャグのつもりで言い放ったのに、全然ウケなかった。

(ちなみに話しながら思いついた。)

流れも自然で完璧だったと思うのだが、「ヤヤウケ」程度だった。

しかもその笑いは、波が引いていくときの寂しさのような、遠くから聞こえる感じの笑い。

まさか「ファインディング」のところまでかかっているセンス抜群のギャグが理解できなかったか?

そうなると彼らの語彙力は相当あやしいことになる。

まさか find の意味が分からない子はいないが、反応が遅いのは「使えるレベル」で言うと、数段落ちるからだ。

desk と言われたら、頭の中で日本語に変換することなく、認識することは誰にでもできる。

しかし、これが decide でできないと(中学生が)英語を読むスピードが相当落ちてしまう。

意味が言えるだけでは習得したとは言えない。

「覚えた」「身につけた」「習得した」にはいくつものレベルが存在するのである。

というようなことを一瞬考えたが、この抜群のギャグを放ったときの私の「どや顔」があざと過ぎたのがウケなかった原因であろうと結論づけた。






今日生徒に言ったこと(41)



 「わからんなんて即答するヤツがあるか!絶対に分かる。考えろ。お前が答え言うまで他の子絶対あてない。」



「 the って普通はどんな品詞につくものですか。」

中2、「比較」の単元の「最上級」の導入のところでの発問。

これに対して、指名した子が「わかりません」と即答したところでのこの言葉。

生徒が「わかりません」と言っているのに、この言葉は厳しすぎると思われるかもしれない。

しかしけっしてそんなことはない。

生徒達はよく「知らないこと」をすぐ「分からない」と言ってしまう。

これはもうクセにまでなっている。

そこを突き破らなければならない。

そのためにはこちらが「火の位」で構えてなければならない。



the book,  the park,  the river...

the のつくフレーズを思い浮かべて、book や park の品詞が何かを考える。

(bookが名詞というのはその子なら答えられると確信している)

それだけのことではあるが、「知らないことは分からない」と思っている子は永遠にできない。

その思い込みを突き崩すには「ショック」が必要だ。

一気に強く揺さぶらなければならない。

だからこそ「火の位」、こちらは一歩も引かないぞという強い気持ちこそが大切なのである。