2011.12.28 Wednesday
国語の授業
小4と小6の講習生の国語の授業を2日ほど私が行なった。
私は普段英語を教えているが、国語の授業をするのは大好きだ。
小4は物語文の読解問題。
『青銅のライオン』というお話。
青銅のライオンの像には願いごとをかなえてくれる不思議な力があったので、誰も願いごとを叶えて欲しくてその背中に乗りたがる。
毎日やってくる人間の自分よがりな願いごとに辟易し、ライオンは、心が冷たく沈んでいた。
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ある日、一人の少年が、やってきてライオンの背に乗る。
ライオンはまた欲深い人間が来たと思うのだが、実は少年はライオンが冷たいだろうからと毛布をかけに来たのだ。
自分を温めるために来てくれた少年の優しさにライオンは心を動かされる。
少年に心を許し、優しくなれたライオンは少年をその背に乗せ、家まで送ってやると言う。
ライオンの背に乗った少年はライオンに語りかける。
「あったかくなったね、ライオン」
ライオンは答える。
「おまえが、あたためてくれたのだよ」
設問にはなかったが、どうしても問いたくなり、小4の子らに問うた。
私:「おまえがあたためてくれたのだよ、とありますが、何があたたまったのですか。」
生徒達:「からだー!」(小4だからこの答えは当たり前だ)
私:「はい、今「体」とみんなが答えてくれました。でもそれだけですか。体のことだけをここでは言っているのですか。」
生徒達:「・・・」
私がこの発問をしたのは言うまでもなく、「おまえが、あたためてくれたのだよ」の台詞が「体をあたためてくれた」と「心をあたためてくれた」の二重の意味を含ませていることを教えたかったからである。
ちなみにこういう問題はテストに出題されることはほとんどない。
しかしだからといって、テストに出る問題ばかりの解説をしているだけでは、大きく力を伸ばすことはできない。
「国語」を教えるのに、「国語」のテスト問題だけにフォーカスし、その解法を細分化しメソッドにして、生徒に教えて仕込んでも、そんなに点数は変わらないのである。
「必要なものだけ」しか教えられていない子は「土台」が脆弱になるのだ。
このストーリーを読んで、「ああ、この「おまえがあたためてくれたのだよ」は体だけでなく、心のことを言っているのだ(あるいは作者は含ませているのだ)」と読めない子が本当に力があると言えるだろうか。
テストの点云々ではなく、私達はそれができる子を育てたい。
SORAでは小学生から文章読解をどんどんやらせている。
受験をしない小学生には力量の低い先生を充てがっている塾も少なくない。
そういう塾では先生の力量が足りず、なかなか文章読解の授業はできないから、漢字や四字熟語やことわざなどの暗記に時間を費やすことが多い。(それだと誰でも授業ができるし、勉強させやすい。)
そういう塾がそうしているうちにSORAは文章読解を鍛え抜く。
いろんな文章を読ませ、書かせ、要約させ、解説し、先生のお話を聞かせ、考えさせ、答えさせ、テスト問題の解き方を教える。(もちろん漢字もことわざも覚えさせる)
力量のある先生がたっぷりとした授業時間の中でそれをやる。
一人の子がしばらくの沈黙の後、「あっ『気持ち』?」と少しすっとんきょうな声で言った。
「それだけですか?」、発問手前の、軽いジャブのような問いかけだけでそう言える子もいる。
この子らは普段から塾へ通っている子ではなく、冬休みに通ってくれている講習生だ。
その子達だって(色々教わっていなくても)それくらいのセンスを持っている。
秘めた力はできるだけ引き出してあげたほうがいいに決まっているのである。