進学塾teTsu

 以前勤めていた塾で後輩だった栗本博也先生が、退職し、自分自身の塾を立ち上げることになった。

場所は富雄。

塾の名前は『進学塾teTsu』という。

teTsuはテツと読む。

テツと言えば、私が真っ先に浮かぶのは、名作「じゃりン子チエ」のチエちゃんのお父さんのテツだ。

あの「テツ」は「ツ」にアクセントがあったけれど、栗本先生のteTsuはきっと「テ」にアクセントがくるのだと思う。

いきなりこんなことを言って茶化したら栗本先生に失礼だろうと叱られそうだが、私と栗本先生の仲だから全く問題ないのだ(笑)

ロゴの下にはTETSU JUKUとあるので、進学塾テツと言っても、テツ塾(teTsu塾)と呼んでもいいということだろう。

ちなみに栗本先生のブログはこちら

栗本先生は派手なタイプの塾講師ではない。

しかし実力派である。

「飛び道具」などは持っていないが、その代わり、じっくり生徒に向き合い、粘り強い指導で生徒の成績を伸ばしていく先生だ。

塾業界(教育業界)は入社三年以内の退職率が約50パーセントという超ブラック業界、様々な業界の中でワーストワンの業界なのである。

そんなご時世の中、栗本先生のような先生に必ず習えるというのは、それだけで本当に値打ちがあると思う。

栗本先生だけでなく、他にも実力派の先生が授業を担当するとのこと。

大いに期待できる塾が富雄にできる。

富雄近辺の方で、このブログを読んで下さっていて、SORAが富雄にもあればいいのに、なんて思ってくださってる方がもしおられるならば、一度、進学塾teTsuに電話をしていただいて、栗本先生とお話ししていただけたらと思う。

実直で真面目で、底に秘めた情熱と、塾講師としての実力を感じていただけると思う。

実は、栗本先生が勤めていた塾を退職してから、私に連絡があった。

聞けば、小さな塾を作っていく方法について教えてほしいという。

kamiesu先生のSORAのような塾を自分で作ってみたくなりました、なんてうれしいことを言ってくれたのだ。

彼は昔から私のことを慕ってくれていて、尊敬してくれていた。

それは長いつき合い、よくわかっている。(私がSORAを作ってからは少し距離があったけれど)

私を利用しようとかそういうのでないこともよくわかる。

とても嬉しかったので、二つ返事でOK、と言いたいところだったが、そこをぐっと堪えて条件を二つ出した。

もし、同意してもらえないのならば、協力はしないつもりだった。

一つは、勤めていた塾から、自分が教えていた生徒を引き抜くというようなことをしないこと。

もう一つは、開校のときとはいえ、授業料に関しては、絶対に「無料」にはしないこと。

この二つを栗本先生に示した。

最初の一つは絶対の条件。

そういうことをして塾を軌道に乗せても、必ず何処かで「あ〜、あの塾はなかなか流行っているけれども、元々は○○塾から生徒を引き抜いて独立したんだよ」と言われるのだ。

そんなのは恰好悪いではないか。

サクセスストーリーに傷がつくし、そんな先生や塾は「レジェンド」にはなれない。

別に皆がレジェンドになろうと思っているわけではないだろうが、私の美学に反するのである。

もう一つの方に関して言えば、何が悪いの?と思われる方もおられるやもしれないが、これは「法律違反」の可能性があるからだ。「不当廉売」という。タダ、もしくは不当に廉価な価格でモノを売るのは法律で禁じられているのである。

一見、消費者の利益になりそうなことであるが、長い目で見ると、資本力の弱い者を追い詰め、健全な競争を阻害するので、これを法律で禁じているのである。(資本力が弱い者ならやっていいというわけではもちろんない。)

最近、塾業界では「長期体験」とかなんとか理由をつけて「無料」にするのが流行っているが、法律違反、または法律違反の可能性のあることをするのは、これも私の美学に反するのである。

私だってSORAを開校したときは、できたばかりの塾を選んでいただいたことの感謝の意味を込め、年会費やら、入塾金を無料にしたが、「授業」は違う。

塾にとって「商品」である。

「商品」を無料にしてはいけない。(ちなみに、入塾してくださる方、すなわち、一種の契約関係が結ばれている人が対象ならば、割り引いたり、一部分無料にするのはアリだと思う。それはサービスの範疇だ。)

「開校価格で安くはしてもいいから、無料には絶対するな。」

と私が言ったら、「そういうことはしません。そんなの当たり前じゃないですか」と笑いながら言った。

流石は栗本先生だ。

でもまあ、よくよく考えたら、私は本当にお人よしだ。

奈良県に手ごわいライバルになるのが分かっている塾ができるというのに、わざわざその協力しているのである(笑)

でもいいのだ。

よい塾が増えれば、多くの生徒とその親御さんがハッピーになれる。

ここは太っ腹でいきたい。

もちろん協力するのは栗本先生が凄い先生だからだ。

わが親友、前田昌宏が廣田先生と塾を出したときもそうだったけれど、仲間感を出したかったので、teTsuのロゴや何かはSORAやDaichiとゆるやかに統一感がある。

「空と大地があるなら、海なんて名前にしたらどう?これで陸・海・空の三軍揃うよ?最強じゃない?」

なんて軽口を訊いたら、栗本先生が出してきたのは「テツ」だった(笑)

まあ栗本先生も言っているが、テツは鉄、哲、徹、轍といい字がいっぱいある。

彼の教育への思い入れが名前一つにも山盛りこもっているいるのだろう。

新しく事を成そうとしている人には恐ろしいくらいのエネルギーが蓄積されている。

彼の思いに触れると、「負けてられない」と、こちらのやる気もレッドゾーンまで跳ね上がっていく。

私は彼に協力すると言いながら、実は自分のために動いているのである。

(まあ、動いているといってもほとんど何もしてませんが、ここは格好いいことを言わせてください。)

栗本先生、頑張ってください。







人間はバカをやっていないとバカになる

 昨日チラシが入って、本日より夏期講習会の受講予約受付開始。

普段ブログで偉そうなことを書いてはいても、塾なんて生徒が来ないとどうにもならない.

だから予約受付初日というのは毎回ドキドキする。

桜井校はすでに中1〜中3の本科生がキャンセル待ちの状態で、今年も小6だけの講習会実施となっていたのだが、それも電話受付開始時間より1時間で定員。

八木校も、まだ期末試験も始まっていない時期というのに、ありがたいことに早いペースで電話が入っている。

ホッとひと安心、と言いたいところだが、先週末からチラシの入った日曜日にかけてバタバタとしまくっていたので、心配している暇もなかったというのが実のところだった。

金曜日は、小5と小6の保護者会があって、それだけでも準備やら何やらで忙しいのに、同時並行で高2生達の「泊まり勉強会」につきあっていた。

畝傍高校の子達が試験範囲が広すぎて半端ないので、泊まり込んで勉強したいと言いだしたのが事の発端だった。

畝傍高校は今年から、試験スケジュールが変わって、年間の試験の回数が減り、つまりは一回の試験範囲が広くなった。

試験勉強の最後の詰めを「合宿」でやってしまおうということらしい。

3階の部屋は宿泊の設備が整っている。

私は前からこの「泊り勉強会」をそそのかしていたくらいなので、二つ返事でOK。

「食事は俺が作ってやるから思う存分勉強しろ」

というわけで初の「泊まり勉強会」。

金曜日、彼女達は学校から急いで帰宅し、荷物を整えて塾へやってきた。

私は3時頃からその日の夕食のカレー作り。


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Nikon D800 AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR


カレーを作って、米を炊いておき、食事をするように生徒達に指示を出して、私はエプロンを外して保護者会。

一日の仕事が終わって、3階へ戻り、勉強の様子を見ながら、翌日の米を炊く準備(笑)

「泊まり勉強会」に参加したのは5名だったが、5名の食事の準備をするとなると、まあ一日中食事のことを考えることになる。

ビッグダディの大変さがよく分かった。(世の「お母さん」の大変さもよくわかった)

そういえばあの方、食事のことは大変マメにやっているように思える。

他のことはともかくも、食事だけはと、その一点に関してはいいかげんにしないと決めているようにちがいない。(あまりよく見ているわけではないけれど)

彼は「食事」というものが家族にとって大切なものだと直感的に悟っているのかもしれない。

それはたぶん間違っていない。



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Nikon D800 AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR


「お前たちは勉強してろ 俺は飯を作ってやるから」

頑張っている連中に「頑張れ」と言う必要はない。

黙って食い物でも用意してやればいい。

なんかもう凄い適当なことを言うけれど、そういうのも教育。

(考えれば、親はそうしてくれているのに、子供ってのはその有り難さを分かっていない。子供諸君は親に感謝するように。)

全然、合理的でも効率的でもないけれど、これもプリミティブな教育のあり方にちがいない。



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Nikon D800 AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR


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Nikon D800 AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR


ある子が「先生の食事の準備する音が心地よくてかえって集中できました」と言っていた。

一日の仕事が終わった先生が次々に3階へ様子を見に来て、声をかけたり、質問を聞いたり、はたまた夕食の残りのカレーを食っていったりする。

そしてちょいちょいと生徒達と他愛もない話をする。

支えてもらっている安心感、応援してもらっている充足感はそのまま勉強へのモチベーションになっていく。

たしかに、生徒達はこの二泊三日、物凄く勉強していた。

休憩時間の間のアイスクリームを食べているときでさえ、ブツブツ言って暗記物を繰っていたり、問題の出し合いをしていたりした。

片時も勉強のことを忘れない。

メシと風呂以外の時間はずっと勉強をしていた。


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GR Digital4


この子らを見た後で、中学生の勉強の様子を見ていると愕然としたくらいだ。(まあ当たり前だ。鍛えに鍛えたその先にこの子らはいるのだ。)

「なんか、全然勉強飽きなかったなあ。」

一人の子のその呟きは皆の共通のものだったろう。



塾なんてものは生徒が来ないとどうにもならない。

だから、いかにして生徒を増やすかということについて皆考える。

しかし、そのことに囚われすぎてしまうと、「無駄」を排し、世間受けすることばかりを考え、平べったくて、奥行きのない、とても「わかりやすいこと」ばかりをしてしまうようになる。

「わかりやすい」ということは、ある意味、単純でつまらなく、浅く、深みのないことであり、無難でエネルギーが低いということである。

それではいつのまにか自塾の教育が死んでしまう。

私が塾の広告によくある「洗練されたカリキュラム」だの「生徒を伸ばす指導システム(図解つき)」みたいなものが好きではないのは自戒の意味でもある。

「人間はバカをやっていないとバカになるんですよ」とはネットのどこかで見た言葉だが、なるほど卓見だ。

もちろん生徒にもたくさん来てはもらいたいが、何より自分達がバカにならないために、これからも心を柔軟にバカをやらねばと思う。






「今でしょ!」の先生

 林修先生の「今でしょ!」を初めて見たときの第一印象は「何か嫌」だった。暑苦しすぎるし、アクが強すぎる。CMで見るのは正直なかなか辛かった(笑)

ただ、あの一瞬だけを切り取るとそのように思うのも当然だが、あれは授業の中の一コマ。大学を目指す生徒達の熱いまなざし、熱くなりきれず、焦りの色を浮かべるまなざし、まったく熱を帯びないまなざし等が混在する教室で、生徒達の心を動かそうとする、熱い、熱いメッセージだ。家でリラックスをしているときに、ポンと見せられたら、正直しんどいと思うのも無理はない。だから「何か嫌」と心では思っていても、頭では「その気持ちはよくわかる」と思っていた。

先日、たまたまテレビをつけると、林先生が「おちこぼれ」の若者達に授業をするという企画をやっていて、途中からだったけれど、興味深く見た。

さすが、一流予備校講師。引き出しの数が多い。苦労しながらも、見事にまとめあげておられた。話題の人の悪口を言うのは簡単だし、そういう人もたくさんいるだろうが、いつもの授業対象者ではない、アウェイの場での一発勝負を、全国放送用に収録されるプレッシャーの中でやっただけで凄い。

ただ、本当にあれが「ガチ」なのかどうか。途中からだったけれど、私はすぐそのことを考え、映像をチェックしていた(性格わるいね)。私の判断では、林先生はガチ。つまりシナリオも事前打ち合わせもなしということだ。おそらく、見るからにヤンキーのようなあの生徒達もほとんどがガチ。

生徒全員を仕込みにすると、バレるので、仕込むというなら、さりげなく授業を軌道修正してくれたり、盛り上げたりしてくれる「生徒」を私なら忍ばせておく。用意するテレビ側が念のためにそうするだろう。そういう視点で、生徒の中に「仕込み」がいないかどうか、チェックをした。もしかしたら、と思うのが一人いた。もっといたかもしれないが、私は終わりの方しか見ていないのでわからなかった。

最後に生徒の感想をインタビューする場面があったが、その生徒達の言葉はとてもリアルだった。しかし、私がクサイと思った生徒は、目立っていたわりには、そこには出て来なかった。

まあ、「念のため」の仕込みの生徒をテレビ側が用意していたとしても、林先生の授業のレベルが低かったわけではない。授業中、黒板に字を書くとき、先生は生徒から目を離さない。字は乱れていたが、そこに真剣勝負を見て取れた。ああいう細部に真剣さは出る。そういう一瞬たりとも彼らから目を離さない真剣さ、そして、正直な自分を吐き出しながら勝負をしたところがよかった。

林先生は、後のインタビューで、あの授業を「負け」と評していたが、「授業」では負けても、林先生自身の評価が下がることはないだろう。モニターで様子を見ていたスタジオでは、授業の間中、ほほーっと唸る場面が多かったくらいだ。授業は負けでも、見ている人には凄いと思わせたので、「林先生」という商品としては「勝ち」だったと思う。

授業が上手い人は軌道修正が上手い。
授業の上手い人は引き出しの数が多い。
授業の上手い人は適切なものを適切なタイミングで出すことができる。
一流ミュージシャンのジャムセッションのように。

カッコイイ!!

 大阪城をバックにバイクが飛び、ライダーが大技を決める!





このイベントはワールドツアーになっていて、世界の名所で行うというのがコンセプトになっている。

凱旋門、ピラミッドの前、赤の広場などでも行われた。

なんでも、大阪城で行うにあたり、地下にある江戸時代の遺構への負担のことを考え、土の下に発泡スチロールまで仕込んだという念の入れようというか、気の使いようだったらしい。

なんかもうお金のかけ方が半端ない。

このイベントに尽力していた日本人選手が、競技中の事故で直前に亡くなってしまったこともあって、世界中の選手が日の丸を振り、日本に、そしてその選手に敬意を払ってくれたことにも胸が熱くなった。

橋下市長は「税金の無駄遣いだ」とツイッターで因縁をつけられていたが(笑)、「許可しただけです。むしろ使用料をもらっています。」と返答。

なんといっても、凱旋門、ピラミッド、赤の広場、大阪城。

大阪城が世界の名だたる名所と同じ舞台に乗って世界中に配信されるのだ。

橋下憎しはあろうと思うけれども、ちょっと野暮かなと思う。

まあそれにしてもよくこの場所に、こんなコースと観客席をセッティングしたものだ。





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